脊柱管狭窄症による坐骨神経痛

脊柱管狭窄症による坐骨神経痛

圧迫骨折による坐骨神経痛から解放された

70代女性
来院に至った経緯
40代から腰痛があり60代になってから慢性的な腰痛に悩まされていた。痛みがあると接骨院や整体にいっていたが、その時は楽になるが完全には良くならないので年齢の事もあり半分諦めていた。2017年に自宅前で転んでしまった事をきっかけに強い腰痛になってしまい、整形外科でのレントゲン検査の結果、第4腰椎の圧迫骨折という診断がくだった。生活に支障を来すほど激しい腰痛に見舞われ、整形外科にて製作してもらったコルセットを巻き、痛み止めを飲みながら安静に過ごし強い痛みは次第に改善していった。それからというもの腰痛は更にひどくなり長く歩く事が出来なくなった。骨密度の検査も標準以下の数値という結果も聞き、また圧迫骨折になったらどうしよう・・・このまま腰痛が治らないのではないかと、日々不安の中で生活していた。そんな中、今年2023年5月特にきっかけもなく右足のしびれが出てきた。整形外科に行ったところ、第4腰椎の圧迫骨折と、第五腰椎の脊柱管狭窄症と診断を受けた。その後整形外科でのリハビリをする事になったが、腰部の牽引をした後から右足のしびれが出て両足に力が入らなくなってしまった。それから整形外科の治療に不安を感じるようになり、リハビリの通院はやめる事にした。右足のしびれは改善する気配もなく、他にどこかいいところが無いか探していたところ、親戚が花みずきカイロプラクティック院で坐骨神経痛が治ったと聞き、googleの評価が高かった事とレントゲン評価を取り入れた治療に安心感があった為、花みずきカイロプラクティック院を予約した。
初診の状態
  • 01

    腰部起立筋の緊張

  • 02

    胸椎後彎

  • 03

    L5の可動制限

経過と内容
【所見】
頸部:バレ・リュー(-)マイグネ(-)
腰部:ATR(±・+)SLR(-・-) ケンプテスト(-・-) MMT・腱反射異常なし

【体表温度検査】
C1・C5・T9・L5・右SI

【視診】
右耳介上方
左肩峰上方
L5とL4の棘突起黒化
右腰部膨隆
左短下肢
筋力低下・萎縮なし


【静的触診】
右OCC浮腫
上部胸椎過緊張
T9スポンジ状の浮腫
L5・L4棘突起部の乾燥

【動的触診】
Fix:L4・L5
Hyper:T9

【レントゲン評価】
仙骨が右下方に変位している。
整形外科にて診断されたL4圧迫骨折を確認
L5-S間がD5レベルで全体に摩耗していた。
C5とC6が後下方変位している

【リスティング】
L5PL
C5PRS

【来院日】
4/7 4/14 4/21 4/28 5/8 5/15 5/22 5/29 6/5 6/12 6/19 6/26 7/3 7/10

【経過と内容】
第五腰椎の椎間板がD5と慢性的な問題が確認された為、初期集中期の段階おして週2回のペースを提案したが、話し合いの結果、週1回のケアでやっていく事とした。骨盤部は右仙腸関節にブレイクがあったものの、、体表温度検査やATRが陽性だった為、第五腰椎からアプローチする事を決定した、(排尿障害、排便障害なし)
1回目のアジャストメントの直後から、第五腰椎の可動性が少し回復し腰の軽さがでた。
3週間後(3回目のアジャストメント)には、今まで四六時中あった右肩の痛みがほとんど無くなり、夜起きてしまう事も無くなった。
5週間後(5回目のアジャストメント)には、腰の痛みと右鼠径部の痛みはほとんど消え、生活がかなり楽になった。
8週間後(8回目のアジャストメント)には、両足に力が入るようになりなってきた。今まではつまずく事も多かったので歩行に不安があったが、自信をもって歩けるようになった。
10週間後(10回目のアジャストメント)には、右足のしびれはほとんどなくなった。
その後も安定するまで1週間に1回の継続ケアを続けている。

考察
椎間板の段階でD5のステージとなっている腰部脊柱管狭窄症であった。(カイロプラクティックで慢性段階を表す指標 良好D1>D2>D3>D4>D5>D6悪化)D5は椎間板の変性が慢性化したステージで、サブラクセーションが10年から15年以上放置されている状態である。

サブラクセーションが長期化すると椎間板の水分は放出され、椎間板スペース(骨と骨の間のスペース)が減少し骨の変形が始まる。狭窄症は上の椎骨と下の椎骨が接近し安定性を高める事で、神経への負荷を避けるための体の防御反応である。腰部脊柱管狭窄症では構造的な問題が重要視されている為、整形外科では椎間板間を広げる目的の牽引が第一の選択肢になるが、カイロプラクティックでは神経機能の回復を第一に考えている。

今回は第五腰椎のサブラクセーションにより第一仙骨神経根の圧迫が起こっていたと推測する。L5仙骨間の椎間板スペースの減少は本来、骨盤からの影響が考えられるが、仙腸関節(骨盤の腸骨と仙骨をつなぐ関節)の可動制限がそれほどなかった事から、L5に絞りアジャストメントを開始した。数回のアジャストメントで症状の改善が始まり、10回までにほぼ症状が消失した。神経系機能が回復した事で脳が損傷した箇所を把握し適切に回復に繋がったと思われる。

肩の痛みに関しては腰椎の圧迫骨折の影響で過後彎(正常は前弯カーブ)になっていた事で僧帽筋の緊張が原因と思われる。肩関節は何も触らなかったが、腰部のアジャストメントを継続する中で僧帽筋(背中・肩・首を構成する筋肉)の緊張も無くなり右肩の痛みも自然消失した。

今回は腰部か骨盤部かアジャストメントを開始する場所を悩んだが、しっかり検査分析を行った結果、腰椎に的を絞り効果的にアジャストメントを行った事で症状の早期改善に繋がった。
また、圧迫骨折を患っている事、骨粗鬆症の検査で陽性だった事もあり、患者さん自身が不安を抱えていたが、しっかりコミュニケーションをとり、不安をなるべく取り除きアジャストメントを慎重におこなった。今後も継続的にケアを行い、再発防止につとめていく。
脊柱管狭窄症による坐骨神経痛
孕石 尚志

執筆者孕石 尚志

昭和48年7月 静岡県島田市出身
東京カイロプラクティック師協会認定の附属治療院にて副院長を任され、2005年7月島田市にて開業。近隣医院と提携したレントゲン評価を導入した正統派カイロプラクティック院として評価され、新規患者の約7割が紹介という広告に一切頼らない口コミによるネットワークを確立。現在ではカイロプラクティック界の名門シオカワスクールにて、塩川満章D.C.の内弟子として、塩川雅士D.C.のもとカイロプラクティックの講師として精力的に活動中。

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