自律神経失調症

自律神経失調症

【主訴】
動悸・耳のつまり・のどのつまり・胃の違和感・首痛・肩こり・頭痛・めまい(仕事中/夜間)・手足に力が入らない・PMS

20代女性
来院に至った経緯
以前より首の痛みや肩こりが慢性的にあり整体やマッサージに通っていた。5ヶ月前から急にめまいや動悸や喉のつまりや耳のつまりなど自律神経の症状が出てきた。仕事が忙しく肩こりがひどくなったからと思い、しばらく様子をみていたが、症状は改善する事はなかった。その後も胃の違和感だけでなく、手足に力が入らない症状も出てきた事もあり、大きな病気ではないのか?このまま治らないのでないか?と大きな不安に押しつぶされそうになった。今まで健康だと思い込んでいた自分に落ち込み、それによってストレスが重なった事で症状は更に悪化していった。内科に行っても特に原因は特定されず、とりあえずという感じで薬を処方されるだけでした。自分の症状をネットで検索すると自律神経失調症の症状と一致し、この症状を診てくれるところが近くに無いかと検索し、googleのクチコミも良かった事もあり花みずきカイロプラクティック院にたどり着いた。カイロプラクティックは初めてだし、整体との違いなども良く解らなかったけど、ホームページに詳しく書いてあったのでそれを読み、もしかしたらカイロプラクティックで良くなるかもしれないと思い予約をした。
初診の状態
  • 01

    左へ頭部の傾き

  • 02

    右頸部の過緊張

  • 03

    左仙腸関節の可動制限

経過と内容
【所見】
頸部:ROMfull バレ・リュー(-)マイグネ(-)
【体表温度検査】
C1・C5・T9・L5・左SI
【視診】
右耳介上方
左肩峰上方
右短下肢
【静的触診】
右後頭下浮腫
左SI浮腫
【動的触診】
Fix:左SI アトラス
Hyper:L5 C5
【レントゲン評価】
側弯あり、頸部カーブ消失
全体的に椎間板スペースはD3程度
【リスティング】
L Ili AS ASRP
【経過と内容】
今回のケースでは左仙腸関節と第一頸椎に明らかな可動制限があり、特に左仙腸関節下端に大きい浮腫と鈍い圧痛もあった。自律神経の問題があるので、仕事の都合上来れる時は週2回、最低でも週1回でケアを続けていくことにした。
1回目のアジャストメントの直後から、左仙腸関節の可動性が少し回復し腰の重みが無くなった。
3週間後(3回目のアジャストメント)には、胃の痛みや喉のつまりが軽減した。
5週間後(5回目のアジャストメント)には、動悸がなくなり、手足に力が入らない事も無くなった。
8週間後(8回目のアジャストメント)には、めまいもほとんどなくなり、今まで必ずあった生理前の頭痛やイライラ感が気にならなくなっていた。
10週間後(10回目のアジャストメント)には、肩こり以外の症状はほとんどなくなった。
自律神経失調症のケアは最低3ヶ月の期間は継続的なケアが必要なことを説明し、2週間間隔に伸ばしながら症状が安定するまで継続ケアを続けている。

考察
レントゲン評価では側弯も大きくあり、更には腰椎5番の椎間板スペース(カイロプラクティックで慢性段階を表す指標(良好D1>D2>D3・・>D6悪化)がD3程度で傾きも大きく、第11胸椎にもサブラクセーションの疑いが見受けられた。しかしながら、左の骨盤(左仙腸関節)と右の後頭部の関節(右後頭下)に可動制限が明らかにあった事、自律神経的には動悸や喉の違和感、耳のつまり、胃の不調などの症状を訴えられていた事もあり、迷走神経の問題があるのではと疑い副交感神経に絞ってアジャストメントする事にした。

カイロプラクティックでの動悸へのアプローチには、迷走神経という副交感神経に問題が考えられる。働きは咽頭・喉頭の粘膜・嚥下・発声・気管・食道・胃・小腸などの運動力の促進、消化腺の分布、心拍数の抑制。
迷走神経とは、第10脳神経と呼ばれ、脳から始まり、顔面、中耳、首、咽頭、気管支、心臓にも分布しており、これらの臓器に分布している迷走神経に問題が生じると、拡張期血圧の上昇(収縮期は正常)、呼吸が浅くなり、心拍が乱れる動悸の症状に繋がる。
また、迷走神経は、胃、小腸、大腸のなどの一部の臓器に分布し、不随意筋の動きを支配している。これらの臓器に繋がっている迷走神経に問題が生じると、黒色の便(胆汁の分泌過剰)、黄疸、胆石、肝炎、胆のうの問題、白色の便(すい臓からの脂肪分解酵素の分泌過剰)、低血糖症(インスリン分泌過剰)、消化性潰瘍、S状結腸の狭窄、回腸、盲腸弁の狭窄の原因にもなる。

特に動悸の症状では、第一頸椎(アトラス)が左前方変位(ASLA)によって左迷走神経の後方部がアトラス横突起に圧迫することが原因となる。(アトラス右後方変位(ASRP)のように右が後方変位することで、同様に左迷走神経を圧迫する時もある)
今回のように訴えられる症状を考慮し、副交感神経(迷走神経)に関係する領域に限定して、アジャストメントをしたことで、動悸をはじめとした喉の違和感や耳のつまりなどの関連する症状の改善に繋がった。
現在では肩こりは若干残るものの、PMS・頭痛・手足に力が入らないなどのそれ以外の症状はほぼ無くなり、来院周期を広げメンテナンスを継続している。
今回のケースでは、レントゲン上で側弯が大きくあった為、見た目の歪みに意識が行きがちだが、カイロプラクティックの理念を尊重しブレずに神経機能を回復させる事に集中した事でいい結果に繋がった。改めてカイロプラクティックの可能性を実感した臨床だった。

執筆者孕石 尚志

昭和48年7月 静岡県島田市出身
東京カイロプラクティック師協会認定の附属治療院にて副院長を任され、2005年7月島田市にて開業。近隣医院と提携したレントゲン評価を導入した正統派カイロプラクティック院として評価され、新規患者の約7割が紹介という広告に一切頼らない口コミによるネットワークを確立。現在ではカイロプラクティック界の名門シオカワスクールにて、塩川満章D.C.の内弟子として、塩川雅士D.C.のもとカイロプラクティックの講師として精力的に活動中。

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