腰痛

腰痛

シューリフトで骨盤が安定し腰痛が改善した

50代女性
来院に至った経緯
長年の事務仕事で座っている事が多く、慢性的な左側の腰痛を感じていた。普段から足を組む癖があり、運動不足も自覚がある。痛みが強いときには整体などでマッサージをしてもらったり、整骨院で電気治療などをして過ごしていた。その時は楽になった感じがあるが、楽な状態は長続きせず、腰痛に関しては持病として半分あきらめていた。
そんなある日、会社の健康診断で胸部レントゲンを撮った時に、背中が曲がっている(側弯)と指摘された。慢性的に腰痛もある事から、心配になり慌てて整形外科を受診した。その結果、やはり側弯症と診断され、自分の背骨を改めてレントゲンで確認し愕然とし涙が出てきた。整形外科では、痛みが出た時用の頓服の処方と、牽引のリハビリを薦められ、1週間に2回3ヶ月通った。リハビリに長く通ったが腰痛は改善する事はなく、通院が大変になってしまいやめてしまった。そんな時にカイロプラクティックで腰痛も湿疹も改善する可能性がある事を知り、近くで検索した結果、口コミも良かった花みずきカイロプラクティック院さんを予約する事にした。レントゲンを使った施術をしてくれる事に安心感があり決断した。
初診の状態
  • 01

    左仙腸関節の可動制限

  • 02

    左脊柱起立筋の膨隆と過緊張

  • 03

    腰部乾いた質感

経過と内容
【所見】
頸部:バレ・リュー(―)、マイグネ(―)
腰部:SLR(―)

【体表温度検査】
SI L5 T8 T2 C1

【視診】
左短下肢
左肩峰上方
右耳介上方

【静的触診】
左PSIS上端に大きな浮腫
腰部後彎気味
左起立筋の膨隆
右胸鎖乳突筋過緊張

【動的触診】
Fix:左SI、L5、T8、C6、C1
Hyper:L1、T2

【レントゲン評価】
左腸骨が明らかにPIEXの形状である
側弯がある為、腰部の椎間板スペースは正確な評価出来ないがD4程度
頸椎C4-C5間がD4程度
腰部の前彎カーブ消失

【リスティング】
L Ili PIEX
T8PRS
ASRA

【来院日】
2021年 7/1 7/8 7/15 7/23 7/29 8/5 8/12 8/19 8/28 9/2 
9/17 10/1 10/15 10/29 11/12 11/27 12/11 12/25
2022年 1/8 1/21 計20回

【経過と内容】
腰部の椎間板にD4レベルと慢性的な段階、そして左仙腸関節のサブラクセーションが慢性的だった為、週2回のケアを提案したが、患者さんの要望も加味し週1回のケアからスタートすることにした。

3週目(3回目のアジャストメント)には、日々の腰痛が少し軽減したが、洗濯を干す動作での痛みや、くしゃみでの痛みが続いていた。

5週目(5回目のアジャストメント)には、デスクワーク中の腰の痛みの軽減がみられたが、まだ継続して痛みがある。しかし左起立筋の緊張は少し緩んできた。

8週目(8回目のアジャストメント)時、かなり左仙腸関節の可動域が改善し、腰痛も軽減してきた。より腰椎を安定させる為、シューリフトを処方する事にした。解剖学的に左脚の欠陥(A.D.11.1mm)を埋める目的で、最初は5mm程度の中敷きを左側のみ入れてもらい様子を見ることにした。

9週目(9回目のアジャストメント)時、シューリフトの影響か定かではないが、好転反応で若干の腰痛が出た。シューリフトの使用は継続してもらった。

12週目(11回目のアジャストメント)時、洗濯物を干す動作、起床時の痛み、デスクワーク中の痛みなど腰痛がかなり軽減してきたようだ。左PSISの浮腫もなくなってきた。

14週目(12回目のアジャストメント)には、日々の動作や生活にはほとんど痛みが無くなってきた。安定している為、シューリフトの厚さはそのまま5mmで継続する事にした。

20週目(15回目のアジャストメント)には、左起立筋の緊張も軽減し、腰部の乾いた肌の質感も正常に戻ってきた。肩こりがすごく楽になり、背中にあった湿疹もいつの間にか無くなっていた。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

考察
今回の腰痛の原因は、骨盤のサブラクセーションによる腰を支える土台に問題があったと考えられる。骨盤部はレントゲン上でも大きく左に傾き、立っている状態においてもお尻の筋肉は明らかに隆起しており、うつ伏せで寝た状態では左足が15mmくらい短かった。またデスクワーク中、腰を丸めて座っていた事により、通常腰部のカーブは前弯だが後弯気味になってしまっていた。

骨盤は家の基礎と同じなので傾いた状態では重たい屋根(頭)を支えるのに柱(背骨)に負担が掛かってしまう。土台である骨盤の左に傾いてしまっている為、背骨が側弯しながら頭を支えている状態であった。特に腰部での負担は大きかったと思われる。成長期の学校の検査で側弯症の指摘は記憶が無かったようなので、幼少期特有の特発性側弯症があったのか定かではない。

今回の患者さんはレントゲン評価より、解剖学的に左脚に欠損が認められた。シューリフト(足の裏に厚い物を入れてかさ上げする方法)の可能性も考慮しながら左骨盤のアジャストメントを進めていった。症状が落ち着いてきたタイミングである施術開始8週目、短下肢側である左脚にシューリフトを処方した(シューリフト適用ルール可)。11.1a.d.に対して、最初は5mm程度のインソールを左側に入れてもらった。今回処方したシューリフトは、オーダーメイドインソールで製作を提案したが、金額的に高価になってしまう事で断念。5mm程度の厚さの市販品インソールをホームセンターで購入してもらい、普段履きのシューズと室内のスリッパに入れてもらった。

インソールをいれた最初の週は、立位でのバランスが急に変わりすぎたせいか、若干の好転反応が出たようだが、症状はすぐに落ち着いた。その後は、痛みも軽減しアジャストメントも長持ちするようになった。アジャストメントとシューリフトで、解剖学的かつ生理学的な左脚の欠陥を補正する事ができ、骨盤を水平に導く事に成功、その結果、腰や背中、頸部も安定したと思われる。特に頸部の筋肉の緊張が緩み、第一頸椎のアジャストメントも深く入るようになった。患者さん側も肩こりがすごく軽減したといういい反応もあった。

今回のケースは、整形外科はもちろん、接骨院や整体でも扱わない、シューリフトの考え方で腰痛の改善を導く事が出来た。整形外科では事故や病理等による脚の欠陥による脚長差(足の長さの差)を埋める装具の処方はあると思うが、事故歴や病気もない通常の患者さんに対して、シューリフトの処方は、まさにカイロプラクティックならではのアプローチだったと思う。骨盤の水平レベルを安定させた事で腰痛がより安定したいい症例である。

執筆者孕石 尚志

昭和48年7月 静岡県島田市出身
東京カイロプラクティック師協会認定の附属治療院にて副院長を任され、2005年7月島田市にて開業。近隣医院と提携したレントゲン評価を導入した正統派カイロプラクティック院として評価され、新規患者の約7割が紹介という広告に一切頼らない口コミによるネットワークを確立。現在ではカイロプラクティック界の名門シオカワスクールにて、塩川満章D.C.の内弟子として、塩川雅士D.C.のもとカイロプラクティックの講師として精力的に活動中。

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