起立性調節障害

起立性調節障害

1年以上行けなかった学校に行けるようになった。

10代女性
来院に至った経緯
1年以上前から左前部の肋骨(あばら)の痛みがあり、整形外科に受診をした。骨には異常がないが、背骨が曲がっている(側弯症)のが少し気になると言われた。整形外科では経過観察をしながら、悪化していけばコルセット療法しかないと言われ、不安を抱きながらそのまま様子をみる事にした。

しかしながら肋骨の痛みは強くならないものの継続して続いている状況であった。そんな中、カイロプラクティックが側弯症に対して有効だと知り、近隣で調べたところ、口コミの評価が高かった当院を見つけた。

ホームページを詳しくみると、自律神経にもカイロプラクティックが有効だと知った。高校2年生の春頃から進学校の為勉強のストレスの中、学校行事で責任感のある事を任された事をきっかけにストレスが増大し、自律神経の不調で学校に登校出来ない状況が続いていた。

2年生の頃はほぼ学校に行けない状態が続いていた。学校に行きたい気持ちはあるが、起床は昼頃になってしまい、その後もだるくて動けない状態であった。

3年生の4月くらいは7日/月くらいは学校に行けるようになってきたが、5月にはまた体調を崩し、学校に行けない日々が続いていた。勉強も自力でやってなんとかついていっている感じなので不安ばかり募っていた。

肋骨の痛みよりも、体調が回復して学校に1日でも早くいけるようになりたいと思い、藁にもすがる思いで当院を予約された。
初診の状態
  • 01

    左へ頭部の傾き

  • 02

    右頸部の過緊張

  • 03

    左仙腸関節の可動制限

  • 04

    呼吸に伴う肋骨の痛みはない

経過と内容
【所見】
頸部:ROMfull バレ・リュー(-)マイグネ(-)

【体表温度検査】
C1・C6・T4・T11・左SI

【視診】
右耳介上方
左肩峰上方
左短下肢

【静的触診】
右後頭下浮腫
左SI浮腫

【動的触診】
Fix:左SI アトラス
Hyper:T4

【レントゲン評価】
腰椎カーブは正常
頸椎カーブは消失し、ストレートになっていた。
全体的に中軽度の側弯。
年齢的にも若い為、全体的に椎間板スペースはD2程度であったが、頸部はD3程度。

【リスティング】
LIli-PIEX ASRP

【来院日】
2024 6/*,6/*,6/*,6/*,7/*、7/* 合計6回

【経過と内容】
全体的な椎間板スペースは良好であったが、静的触診やレントゲン評価の状況、何よりも1日でも早く学校に行けるようになりたいとの思いから、週1のペースでケアをしていく事にした。

1週目(1回目のアジャストメント)には、少し身体が軽くなったと笑顔で帰られた。

2週目(2回目のアジャストメント)には、肋骨の痛みがなくなったが、体調には変化がなく、学校を休んでいる状態が続いている。

3週目(3回目のアジャストメント)には、肋骨の痛みは無く継続して調子がいい。頭痛は減ったが朝起きれない 状況が続いている。

4週目(4回目のアジャストメント)には、朝起きられるようになったが、身体がだるく学校にはまだいけない状態が続く。

5週目(5回目のアジャストメント)には、朝も普通に起きて学校に行けるようになった。今まで薬をのんでしのいでいた生理痛もなくなり、不安症も少し改善してきた。

6週目(6回目のアジャストメント)には、顔もすごく元気な表情に変わってきて、活力が沸いてきたのを感じた。1学期終盤ではあるが、学校に行ける喜びを感じているとの事だった。もし今までの状態が続いていたら、出席日数が足りなくなり卒業が出来るかどうかの不安もあった。また、勉強も自力でやっていた為、大学進学の不安もあったが、体調が改善してきた事が非常にうれしく、夏休み期間中も継続して通っていきたいとの事だった。

現在も 1週間に1回のケアを継続している。

考察
今回のケースは、交感神経系のサブラクセーションに的を絞ってアプローチをすべきか、副交感神経系のサブラクセーションに的を絞ってアプローチすべきか非常に悩んだケースであった。
それは、症状からすると起立性調節障害(内科受診歴はなく、内科で診断された訳ではない)を患っているのではないかと判断した為、副交感神経系のサブラクセーションを先にアプローチしたいと考えたが、低血圧は甲状腺・副腎のホルモンバランスの乱れ、肋骨の痛みは胸椎(胸椎サブラクセーションから来ているのでないかと疑った)だとすると、交感神経系のアプローチになってしまうからである。

何度も体表温度の検査や動的触診・静的触診を繰り返し、問診も改めて行い、最終的に副交感神経系のサブラクセーションに限定してアプローチする事に決めた。検査では骨盤部と上部頸椎に強い反応が見られた(骨盤部と上部頸椎はどちらも副交感神経支配の部位となる)。副交感神経にサブラクセーション(根本原因)があることで、交感神経が過剰になり、自律神経のバランスが乱れていたと考えられる。

結果として、アプローチの選択は正しく、6回でほぼ症状が改善した。肋骨の痛みも骨盤部からくる問題だったのか、肋骨はもちろん胸椎にも全く触る事なく、2回目のアジャストメント時には1年間悩んでいた肋骨の痛みの症状は無くなった。
日常生活も順調で、朝も普通に起きられる様になり、その後のだるさもなくなり、暑い中でも自転車にのり普通に学校に行けるようになった。生理痛で市販薬を毎回飲んでいたその痛みもなくなり、薬飲む事も無くなった。急に起こる胃痛や吐き気も無くなった。今まで当たり前だった学校にいける喜びを日々感じているとのこと。

極端な表現もしれないが、カイロプラクティックでその子の人生を変えた症例であると思う。適格な検査、判断、正確なアジャストメントが正しい神経機能にし、偉大な自然治癒力を発揮させた。
もうしばらく安定するまで継続的なケアが必要だと思うが、このまま順調に回復して無事卒業して欲しいと心から願う。

起立性調節障害
孕石 尚志

執筆者孕石 尚志

昭和48年7月 静岡県島田市出身
東京カイロプラクティック師協会認定の附属治療院にて副院長を任され、2005年7月島田市にて開業。近隣医院と提携したレントゲン評価を導入した正統派カイロプラクティック院として評価され、新規患者の約7割が紹介という広告に一切頼らない口コミによるネットワークを確立。現在ではカイロプラクティック界の名門シオカワスクールにて、塩川満章D.C.の内弟子として、塩川雅士D.C.のもとカイロプラクティックの講師として精力的に活動中。

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